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スターホースの走りは感動を呼ぶ。
アーモンドアイ、悠々とGI7勝目。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/05/18 11:30
終わってみれば「格が違った」としか言いようのないアーモンドアイの完勝。単独最多GI8勝の現実味も大きく増した。
200mで独走、100mでは余裕。
「パドックからスタートまで、いい感じでした。大人になった。静かでした」
ルメールはそう振り返る。この落ち着きが好スタートにつながったのか。
自分のリズムで走りながら他馬を先に行かせ、6、7番手におさまった。
「道中はとても乗りやすかった。リラックスしていました。(サウンドキアラの)松山騎手の後ろのいいポジションでした。ずっとマイペースで走ることができました」
4番手の外目で3、4コーナーを回り、直線に入った。
ルメールは手綱を持ったまま。ラスト300m付近で、同じように抜群の手応えで追い出しのタイミングをはかるサウンドキアラの外に並びかけた。
そして、ルメールが手首の動きを強めて促すと、アーモンドアイは鋭く反応した。
例によって、手前を何度も左右に替えながらではあったが、ラスト200mを切ると独走態勢に入った。
ルメールは、手綱を持ち直して馬銜を詰める動作をしながら軽く肩鞭を入れただけで、最後まで強く追うことはなかった。ラスト100mほどのところで後ろを振り返る余裕もあった。
アーモンドアイは、2着サウンドキアラに4馬身差をつけ、悠々ゴールを駆け抜けた。
勝ちタイムはコースレコードにコンマ1秒及ばないだけの1分30秒6。追っていたら、楽々レコードを更新していただろう。
2009年にウオッカがこのレースを7馬身差で勝ったときのように、これまで負けたのが不思議になるほどのパフォーマンスだった。
歴代の名馬に並ぶ7勝目のGI。
「最後はパワフルなストライドを使った。これからは負けないです。レジェンドホースです。彼女の人生はまだ終わっていないので、またGIを勝つと思います」
ルメールは笑顔でそう話した。
これがアーモンドアイにとって、シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラックという歴代の名馬に並ぶ、芝GI 7勝目となった。