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梶原悠未が目指す自転車の世界一。
2021年、東京で笑顔の金メダルを。
posted2020/05/19 18:00
1日で4つの異なるレースを走る自転車のトラック種目「オムニアム」で、筑波大の梶原悠未が世界選手権を制した。日本女子で史上初めて、世界一を意味する虹色のジャージ「アルカンシエル」を獲得した。
自転車を始めたのは埼玉・筑波大附坂戸高1年のとき。中学までは競泳自由形で五輪を夢見たが、中学3年の埼玉県大会で全国大会の参加標準記録を突破できず、「三日三晩泣き続けた」という。
別の競技に目を向けたきっかけは、そのとき母親の有里さんがかけた言葉だ。「これだけがんばったんだから、他に向いていることがあるということなのかもしれない。がんばった過程には意味があるはず」
スイミングクラブも続けながら、自転車に取り組んだ。高校2年でジュニア日本一。高校3年でアジアジュニア選手権を制した。自転車の強豪校でない筑波大に進んだのは「世界一だけを目指したかった。そのための環境を自分で作れると思った」。
東京オリンピックには笑顔で。
東京五輪まで五輪会場に近い静岡県伊豆の国市を拠点にする。東京五輪の延期の可能性が報じられるようになると、不安と戸惑いが生まれ、東京五輪で金メダルを取るという決意が削ぎ落とされた。「練習に身が入らない日々が続きました。足に力が入らず、ぼーっと自転車に乗り、追い込みきれずに自宅に帰宅することが度々ありました」
大学の卒業式では、報道陣の質問に迷いながら答えていた。しかし思いを言葉にするうちに、気持ちが固まってきたという。
「私の好きな言葉に、『困難を乗り越える過程が人として成長させてくれる』という言葉があります。みんなで力を合わせて、この壁を乗り越え、笑顔で東京オリンピックを迎えたいです」
梶原悠未Yumi Kajihara
1997年4月10日、埼玉県生まれ。筑波大附坂戸高、筑波大を経て、この4月に同大大学院へと進学。オムニアムはワールドカップで通算4勝、アジア大会で金メダル。ロードでも日本代表で国際大会の優勝経験があり、ジュニア時代はアジア制覇、世界4位。155cm。