「子どもにスポーツを楽しんでほしい、一生懸命に取り組んでほしい」

　こう願う親御さんは多いと思います。一方で、スポーツを通しての親の役割に悩むこともあるのではないでしょうか。

　著者の田崎篤先生は、（1）スポーツの現場に関わる医師、（2）子どもを持つ父親という目線から本書を著しており、私自身は（1）現役のママアスリート、（2）競技転向経験者という立場で読んでいます。

　私は一度目の陸上選手引退後、妊娠を機に大学に進学し、「子どもの健康福祉学」を専攻しました。子育ての合間を縫って取り組んだ論文のテーマは『就寝時刻別・体力レベル別にみる児童の生活習慣や学力との関連性』でした。運動能力の測定結果と生活習慣に関するアンケートを組み合わせて論じたのですが、本書の「運動や生活習慣の獲得に注力することは、学力向上のためには相乗効果が期待できる」という記述と同じ結論に至りました。