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タカマツが「金」を意識した瞬間。
バド女子ダブルスの系譜は東京へ。
posted2020/05/09 09:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Shinya Mano/JMPA
2016年8月18日、リオデジャネイロ五輪バドミントン女子ダブルス決勝。
白いユニフォームに身を包んだ高橋礼華と松友美佐紀が決戦の舞台に登場した。相手はデンマークの長身ペア、カミラ・リターユヒル、クリスティナ・ペデルセン。第1ゲームを落とした2人は、第2ゲームを奪い返し、そして運命の第3ゲームへ突入する。
ファイナルゲームは一進一退の攻防が続いたが、16-16から3連続ポイントを奪われ16-19の絶体絶命のピンチに。しかし、追い込まれたこの状況から、2人はとんでもない集中力と強さを発揮し、5連続ポイントで勝利を手にした。
21-19。その瞬間、高橋はコートに倒れこみ、松友はガッツポーズを見せた。
日本バドミントン史上初の金メダルを獲得し、刻んだ新たな歴史。ペア結成10年目の先輩後輩ペアがお互いを信頼し、尊敬し合い、そして高め合ってきた末に掴んだ栄光だった。
大きな注目を集めたオグシオ。
日本は現在バドミントンの強豪国へと成長し、東京五輪でも複数種目でメダル獲得が期待される有力競技と言われている。なかでもリオ五輪で金メダルを獲得した女子ダブルスは、同競技のなかでも他種目に先駆けて競争意識が高まるのが早かった。
オリンピックでメダルに最初に近づいたのは2008年の北京大会。同大会には2組のペアが出場した。
まずはバドミントン人気の火付け役となった「オグシオ」こと小椋久美子、潮田玲子組。五輪前年の世界選手権では銅メダルを獲得し、全日本総合選手権大会で5連覇を果たすなど、実力派ペアとして活躍した2人は、名実ともに日本のトップとして北京五輪に臨んだ。しかし、当時の女子ダブルス界は中国勢が席巻。準々決勝で同大会金メダルを獲得した中国ペアに敗れ、ベスト8に終わった。