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タカマツが「金」を意識した瞬間。
バド女子ダブルスの系譜は東京へ。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2020/05/09 09:00
リオ五輪で金メダルを獲得した高橋礼華と松友美佐紀。ロンドン五輪で銀メダルを獲った「フジカキ」の活躍が刺激となった。
「絶対に金」は「銀」があったから。
さらに、フジカキがスエマエの姿を見てきたように、「タカマツ」もまたフジカキの姿に大きな刺激を受けてきた。高橋は以前、こんな話をしている。
「先輩たち(藤井と垣岩)は私たちにとってライバルであり憧れの先輩。私たちは代表では先輩たちよりも年下で実力も下だったので、勝ちたい気持ちが強かったですね。自分たちが強くなれたのも先輩たちのおかげ。漠然とオリンピックでメダルと思っていた私たちが、絶対に金メダルを獲ろうと思ったのも、2人が銀メダルを獲ってからなんです」
代表選考でも争ったライバルペア。自分たちも超えたい、自分たちでも勝てるかもしれないという気概が、彼女たちの飛躍の原動力となり、リオ五輪の金メダルへとつながっていった。
そして、タカマツの金メダルが東京五輪を目指す選手たちの目標となっている。
フクヒロ、ナガマツが継ぐ系譜。
リオ五輪当時、B代表だった福島由紀、廣田彩花の「フクヒロ」は翌年からA代表入りし、今年の全英オープンで優勝。現在、日本人トップの世界ランキング2位につけている。また、'18年に代表入りした永原和可那、松本麻佑の「ナガマツ」は、同年と昨夏の世界選手権で金メダルを獲得。東京五輪代表の有力候補となっている。
五輪出場を目指すタカマツを始め、互いに切磋琢磨しながら実力を付け、世界でも台頭してきた彼女たち。身近にいる国内ライバルの存在が慢心を許さず、さらなる成長を促してきた。
こうして受け継がれてきた女子ダブルスの系譜。果たして次はどんな物語を紡いでいくのだろうか――。