フランス・フットボール通信BACK NUMBER
カダフィ大佐後のリビア・サッカー。
戦下の国のクラブ、代表チームとは?
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byfacebook@AlnsrClub
posted2020/05/05 19:00
内乱状態にあるリビアのクラブチーム「アルナスル・ベンガジ」が、アフリカサッカー連盟カップで準々決勝に進む快挙!
代表も、国内クラブの試合もずっと無いままに。
厳しい政治状況下でリビア代表は、2013年4月13日の中央アフリカとの親善試合を最後にホームで試合を行えていない。
近隣諸国の理解を得て、チュニスやスファックス、モナスティル(ともにチュニジアの都市)、ブリダ(アルジェリア)、マラケシュ(モロッコ)、カイロ(エジプト)などでホームゲームを開催しているだけである。
クラブの活動はさらに制限されている。リーグの公式戦が最後に行われたのは2019年4月6日まで遡る。直後にリビア協会は、十数節を経過した時点でリーグの中断を決めたのだった。
昨年11月、トリポリと中部地方のクラブは、10月のリーグ再開を発表しながら実現しなかったサッカー協会を相手取り訴訟を起こした。
協会が延期を決めた理由は、コミュニケによれば、「カリファ・ハフターがトリポリに脅威を与えている」からであった。
協会によりアフリカ連盟のカップ戦出場が承認されたクラブだけが、中立地での試合を認められた。ベルギー人監督イバン・ミナールトに率いられたアルイティハド・トリポリは、こうしてコンフェデレーションカップに出場したが早々に敗退した。唯一、ベンガジのアルナスルだけが、チャンピオンズリーグで敗れた後も他の大会(コンフェデレーションカップ)に回り、2019年8月以降も12試合を勇壮に戦ったのだった。
リビアで最高の選手はチュニジアへ。
「活動停止の影響は、選手の国外離脱という形でまず現れた」と、協会のサブ・ゼネラルセクレタリーを務めるモハメド・グレミダは語る。
「選手たちは規則を改正して受け入れ態勢を整えた近隣諸国に主に流れていった。マグレブ諸国やエジプトでは、リビア人選手は自国選手と同等の扱いを受けている」
エスペランス・ド・チュニスに所属するハムドゥ・エルフニがまさにその例で、リビア出身選手の中で最高という評価を得ている。
「国内に残った選手たちは、自分ひとりでもトレーニングを続けようとするが、クラブが活動を停止した今はそれも難しい」とグレミダは続ける。
「クラブの首脳同士が会うことすら難しい。彼らは協会会長の選挙を求めているが、セキュリティの問題から電話で意見を交換しているだけだ」