フランス・フットボール通信BACK NUMBER
カダフィ大佐後のリビア・サッカー。
戦下の国のクラブ、代表チームとは?
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byfacebook@AlnsrClub
posted2020/05/05 19:00
内乱状態にあるリビアのクラブチーム「アルナスル・ベンガジ」が、アフリカサッカー連盟カップで準々決勝に進む快挙!
内乱を逃れて続々と国外に流出する選手たち。
『ザ・リビア・オブザーバー』誌の記者でバロンドール投票委員でもあるアーメド・エダイリは、代表とアルナスルを除き結果は期待されていないという。
「学校と同様にサッカーも今は冬眠状態だ。選手の流出は継続的に続き、今では20~30人が国外でプレーしている。いずれにせよひどい状況であるのは間違いない」
アルナスル・ベンガジは、カップ戦のホームゲームをカイロで開催せざるを得なかった。監督のモハメド・アルキクリ(36歳)は、エースストライカーのモアマズ・アルメフディをはじめとする主力が国外に出て行ってしまったために、若手主体のチーム構成で試合に臨んだ。
コンフェデレーションカップ準々決勝(註:3月におこなわれモロッコのアガジールに敗れる)に進出し、国民に誇りを取り戻させたこの才能に溢れる世代が、いつの日にか代表のユニフォームを纏い、リビアの観衆を熱狂させることはないと誰が言いきれるだろうか。あるいはカダフィ大佐時代に建てられた巨大なスタジアムで再開されるリーグ戦で、満員の観客を興奮の坩堝に誘わないと。
ただ、今はまだトリポリでもベンガジでもミスラータでも、彼らがボールを蹴る姿を見かけることはあり得ないが……。