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契約延長ならイニエスタも仲間に?
Jで愛された大物外国人の共通点。
posted2020/05/06 11:50
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO SPORT
どうもイニエスタは本当に日本を、Jリーグのことを気に入ってくれているようだ。
現時点でヴィッセル神戸とイニエスタの間で結ばれている契約は、2022年1月31日まで。つまり2021年シーズンまでとなっている。ただ4月29日に古巣バルセロナとのオンラインインタビューに答えた際、こんな風に話していたのだという。
「時々、引退について考えることはあるけど、正直まだ、少し遠くのことに見えている。僕のフィジカルの調子、やる気、モチベーションレベルはすごく良いし、僕はプレーしながら、とても幸せで満足しているし、さらに続けられる力を感じている」
イニエスタはJリーグの中断中、日本だけでなくスペインの「マルカ」など各紙、イギリスの「ガーディアン」紙といった各国メディアの取材にも応じている。それを読んでみると「日本での生活が快適である」こと、そして「プレーを続けて、皆さんをまた幸せにしたい」と契約延長に前向きなコメントを発信。未来については神のみぞ知るだが、まだまだその“魔法”を見せつける心づもりなのだろう。
出稼ぎではなく、Jリーグで活躍したい。
こんな風に日本への思いを明かしているイニエスタだが、そう言えば2011年クラブW杯で来日した際のこと。地下鉄に乗って「文藝春秋」の中吊り広告の下で写真を撮ってるのに、通勤客が誰も気づいてないなんて“世界的騒動”があった。それも9年前の話か……。
もし2020年の今、不要不急の外出自粛が解けた際に同じシチュエーションが訪れたら「なんでイニエスタが乗車してんの!!」とパニック必至だろう。
閑話休題。
2018年ロシアW杯を直前に控えたイニエスタは、12歳の頃から過ごしたバルサを退団し、新天地にヴィッセルを選んだ。時が経つのは早いもので、この5月でちょうど2年となる。とんでもないターンからのJ1初ゴールに始まり、ピッチどころかスタジアムの空間をも支配したかのような絶妙なアシスト、そして数えきれないほどの「どうすればそんなことできんの?」というスキルの数々を見せてくれた。
今季がJ在籍3年目であるイニエスタ。もし契約延長が2022シーズンの単年契約と仮定しても、計5シーズンも日本でプレーする計算になる。ここ数カ月の中断期間があまりにもったいないとも感じるが、数年で“出稼ぎ終了”ではなく、長くJリーグで活躍したいとの意欲を発信してくれるのは、本当にうれしいことである。
そんな感慨に浸りつつ、気になったことがある。長期間にわたって日本でプレーしてくれた、いわゆる「大物外国人」とはどんな面々だったのだろうか?