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ランキング下位層はテニスの未来か。
BIG3の救済案とティームの異論。
posted2020/05/04 11:40
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
世界中のあらゆるエンターテインメントが本来の活動の場を失っているが、スターは何をやってもエンターテインメントになる。テニス界で先週、ファンを飽きさせなかったのがスター同士のインスタグラムでのビデオチャットのライブ配信だ。
ラファエル・ナダルとロジャー・フェデラー、ナダルとアンディ・マリー、ノバク・ジョコビッチとマリー、ジョコビッチとスタン・ワウリンカ、ジョコビッチとファビオ・フォニーニといった組み合わせで繰り広げられるやりとりはジョークにあふれて愉快だし、互いに普段から聞きたかったことをこの際とばかりにぶつけているのも興味深い。
契機はジョコとワウリンカの会話。
その中でも議論の輪を広げたのがジョコビッチのこの発言だった。ワウリンカとのやりとりでのことだ。
「ロジャーとラファと3人で長いこと話し合って、どうやって今苦しんでいる下位の選手たちを助けることができるか考えたんだ。たとえば、300万から450万ドル(約3億2300万円~4億8400万円)の基金を用いて、200位あるいは250位から700位とか1000位くらいまでの選手を助けることができるか。
こういう選手の大半は自国の連盟からの支援もスポンサーもない。彼らは孤独に戦っている。ATP(男子プロテニス協会)、グランドスラム、選手たちが協力して基金を作り、たとえばツアーファイナルズのようなトッププレーヤーのためだけの賞金のボーナス分や、来年の全豪オープンの賞金を何%かカットしてファンドにまわすとか……」
トップの働きかけはいつも効力絶大で、すぐにATPとWTA(女子テニス協会)とITF(国際テニス連盟)の3つの団体が、<選手救済計画>についての話し合いに入ると報じられた。