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ランキング下位層はテニスの未来か。
BIG3の救済案とティームの異論。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2020/05/04 11:40
BIG3の救済案が話題になった一方で、ティームのような提言があることにもテニス界の知性を感じる。
下位層は「テニスの未来」なのか?
今回はこんなティームの異論が出たおかげで、ある疑問を抱くことができた。250位以下の層は本当にジョコビッチが言うように、「テニスの未来」なのかということだ。
ちょうど10年前のランキングの250位以下を確認してみた。未来の選手――確かにいる。全体の数から見ればごく一握りだが、のちに最高3位までいくグリゴール・ディミトロフもミロシュ・ラオニッチも、7位をマークするダビド・ゴファンも、そこでは皆300位台だ。
のちにトップ20、トップ30になる選手も他に数人いる。ただ、皆10代かせいぜい22歳以下。ならば、テニスの未来のためには若い選手だけ助ければいいのではないかという案も出て不思議ではない。
そもそもテニス界はコロナとは無関係に、テニスのプロを減らす方向でツアーを改革していたところだった。
新たなシステムは、若く将来性のある選手、確かな実力を持つ選手を優遇し、賞金だけで生活していけない多くの選手を切り捨てるものといっていい。
はからずもコロナはその思惑に沿うことになるのか、ジョコビッチの言葉を借りれば、テニスが誇るべきエコシステムまで破壊してしまうのか、これから具体化するはずの救済措置はどう影響するのか。<コロナ後>を見据え、少なくとも議論は活発に生きている。