Overseas ReportBACK NUMBER
休校の子供の「1時間目」を独占。
イギリスの体操YouTuberが大人気。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph bySports Graphic Number
posted2020/05/01 20:30
ジョー・ウィックス先生の運動は、コミカルで、適切な強度で、無理なく続けられる楽しさがある。
在宅の子供の「1時間目」が体育に決定。
ジョー先生こと、ジョー・ウィックス氏は、普段はオンラインでトレーニングや栄養指導を行っているが、新型コロナウィルスの影響で学校が休校になり、外出規制が出ると、すぐに子供向けのプログラムを開始した。
学校は休校。自由に外で遊ぶこともできない子供たち。親たちは毎日、どんな時間割で子供たちを勉強、生活させるかが悩みの種だった。しかしジョー先生の登場で、「とりあえず1時間目は体育」が日課になり、必然的に子供たちは規則正しい生活に。夏休みのラジオ体操的な役割を果たしている。
このプログラムの目的は、子供たちをトップアスリートに育てるためでも、心身ともに鍛え上げるためでもない。家でも何らかの形で体を動かしてほしい、運動する楽しみを感じてほしい、という思いから構成されており、体幹を鍛えるものがほとんど。
バーピーやスクワット、プランクなど、子供にはキツめのメニューもちらほら。30分みっちり取り組んだら、かなりの疲労感に襲われる。
大人用のワークアウト動画では、「がんばれ、君ならできる、諦めずにやりきれ!」みたいな根性論的な喝を入れるようなトレーナーもいるけれど、ジョー先生は、あくまでも体育の先生というポジションを崩さない。「できないときはその場でジャンプするだけでいいよ」「きつかったら膝をついてもいいからね」など、できない子へのケアも忘れない。
「富士山があるのはどこ?」
子供たちが飽きないように、毎日、様々な工夫をしているが、ワークアウト中のクイズもその1つ。
「富士山があるのはどこ?」
「ビートルズはイギリスの何市の出身?」
「100mの世界記録保持者、ウサイン・ボルトの出身国は?」
地理の勉強にはちょっと簡単すぎるかもしれないけれど、子供たちが違う国や文化に興味を持つきっかけとしては充分だ。