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DeNAの太陽、桑原将志は復活する?
笑顔に秘める思い「今年はギラつく」。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2020/04/26 11:30
DeNAのムードメーカーはインスタグラムで「熱男リレー」にも参加。
「必ずやり返したい」
「今はもっともっと野球がしたいと思っているんですよ。去年のことがあったからこそ、まだまだ俺は成長できるぞって思うし、必ずやり返したい。ここでやり返さなければ、この先の自分はないぞってぐらい。本当、終わってたまるかですよ」
語気は強まり、声に張りが生まれる。高卒から叩き上げで自身を高め、背番号「1」を獲得した努力の人。まだ26歳。勝負はこれからであり、覚悟はできている。
言うまでもなく課題はバッティングになるが、桑原は改善点を模索するというものの、自身のなかである誓いを立てているという。
「それは自分のスタイルを今後も変えないということです。昨年もそういった思いでやってきましたし、なにかを変えなければいけないのでしょうが、もう自分のなかでは腹をくくってやっているので迷いはありません。その分、今年はギラついてやりますよ」
落ち着いて見極めたフォアボール。
そんな桑原の成長と覚悟を感じさせたのは3月7日のソフトバンクとのオープン戦だ。キャンプをずっと二軍で過ごし、ようやくこの前日から一軍に帯同することになった。ライバルの神里の不振もあり、待ちに待ったチャンスが桑原におとずれた。
6回裏に2死一塁で初めての打席がまわってきた。桑原は、ソフトバンクの松田遼馬のアウトローのカーブとストレートを見極め3ボールとすると、つづくストレートを見逃し、さらにファール。やっと巡ってきた打席に本来であればアピールするために積極的に振っていきたいところだが、桑原は落ち着いた様子で球筋をじっくりと確認していた。そしてフルカウントから投じられた外角低めストレートは手を出してもおかしくないきわどい球だったが、桑原はバットを止めた。判定はボールとなり、フォアボールで出塁した。
己を知る――強引には行くことなく、ピッチャーとしっかり向き合う姿に、桑原の今季への想いが詰まっているように感じられた。この出塁は、結果的に後続の打者であるオースティンの逆転3ランのお膳立てとなった。