神里、梶谷、乙坂……ライバルは多い。

「自分と向き合うことが大事なんですよ。ひとりの時間を大切にしたいと思っています」

　桑原はそう語っていたが、自主トレが長引いているこの期間、稀代のムードメーカーは己と向き合い虎視眈々と爪を研いでいるに違いない。再び「1番・センター」のレギュラーを奪取するために。

「筒香（嘉智）さんが抜け、今季は本当に大事なシーズンだと思うので、チームが勝つために求められる役割を頑張りたい。まあ、ギラつくしかないですよ（笑）。佐野（恵太）がキャプテンになって、チームカラーも変わると思うんです。より明るいチームになるでしょうし、その勢いに乗せてもらって野球ができることに感謝しながら楽しみたいですね」

　神里はもちろん、オープン戦好調だったベテランの梶谷隆幸や同期の乙坂智らとの厳しいポジション争いになるが、引くつもりはない。振り返れば、DeNAがＡクラスにコンスタントに食い込んできている近年、桑原が塁に出るとチームに勢いが増し盛り上がる様子をこれまで幾度も目撃している。

　最後、桑原に「元気じゃないとDeNAらしさが出ないですよ」と伝えると、はにかむような笑みをこぼし答えた。

「ええ。これまでいろんな人を裏切ってきてしまっているので、今年はぜひそういった姿を見せたいですね。やるしかないですよ」