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DeNAの太陽、桑原将志は復活する?
笑顔に秘める思い「今年はギラつく」。
posted2020/04/26 11:30
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
新型コロナウイルス禍により出口のないトンネルへ入り込んでしまっているプロ野球界ではあるが、そんなときだからこそ太陽のように輝く選手の存在は眩しく見える。まわりを明るく照らすキャラクター、そしてほとばしるような元気は、この非常時においてチームはもちろん、ファンにとっても救いである。
横浜DeNAベイスターズでいえば、桑原将志がそれに該当するだろう。小さい体から繰り出されるガッツみなぎるプレーと、ベンチを盛り上げるムードメーカー。桑原のまわりは、いつも哄笑であふれている。
「まあ、それが僕の取り柄じゃないですか」
キャンプ前のある日、桑原はそう言うと笑顔を見せてくれた。しかしながら、心の奥底には澱のようなものが溜まっているようにも感じられた。
不本意な1年でも、明るく振る舞った。
桑原は入団5年目の2016年シーズンに「1番・センター」としてレギュラーに定着すると、2017年は一軍公式戦全143試合に出場し、7月には月間MVPに選出されるなど、DeNAの日本シリーズ進出に大きく貢献した。切り込み隊長として不動の地位を獲得したかに思えたが、2018年になるとルーキーで同学年の神里和毅の台頭もあり、出場機会を減らしていった。そして昨シーズンは72試合の出場にとどまり、打率は.186と不本意な成績に終わった。
登録と抹消を幾度も繰り返す苦しい日々。しかしベンチにいる桑原は、大きな声を出し努めて明るく振る舞っていた。チームのムードを盛り上げるために。
「けど、正直に言えばつらかったですよ。結果が出ず悔しい気持ちもありましたし、情けないなって……」
桑原は、本音を漏らした。