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リーチ マイケルが危機に語ること。
「毎日をレビューして正しい行動を」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/04/17 15:30
「地に足がついた」という表現がリーチ マイケルほど似合う人間はそういない。彼はいつでも自分ができることにフォーカスしている。
時間があるからこそ、今できることを。
「今シーズンは調子が良くて、ここから優勝へ向かっていく準備ができていた。自分はいつものプレーを、東芝で大事にしていることをしっかりやる、ということを意識していました。トップリーグの中止は残念でしたけれど、すごくいい判断をしたと思います。いまこの時間はとにかく我慢をして、さらにいい準備をしていく。次のシーズンへ向けてできる範囲で準備するのが、一番大事だと思います」
リーチ自身も感染拡大を防ぐために、外出を自粛する毎日を過ごしている。それでも、表情に陰りはない。
「いままで時間がなくてできなかったことをやっているので、充実しています。なわとびにハマっています。娘もやっていますね。東芝のクラブハウスには行っていないので、自分で90ポンド(約40キロ)のダンベルをふたつ買って、自宅でトレーニングをしています。主に上半身を鍛えていて、あとはリハビリもしていますね」
10年で初めての家族との時間。
東海大学卒業とともに東芝へ加入した2011年から、日本ラグビー界の最前線で奮闘してきた。31歳となった現在まで、シーズンの切れ目がないような生活を続けてきた。
「10年くらいずっと、トップ(レベル)のラグビーをやってきて、こういう時間がなかったので奥さんも娘も喜んでくれています」とリーチは話す。
家族との温もりに満ちた日々があるからこそ、心が曇ることはないのだろう。はからずも訪れた自粛を、心身を整える時間としているのだ。
「いままでできなかったこととしては、本を読んだりもしています。買ったけれど忙しくて読めていなかった本とかを。ラグビーをできないことへのストレスはないですね」