ラグビーPRESSBACK NUMBER
ワールドラグビー次期会長は誰に?
大国に挑む45歳、ピチョットの野望。
posted2020/04/16 11:30
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
ドン・キホーテの血が流れているのかもしれない。
巨大な敵に挑む。無謀と言われようが、挑まずにはいられない。
敵が巨大なら、まして個人ではなくシステムなら、なおさら闘志がわき上がる――。
5月に投票が行われるラグビーの世界統括機関・ワールドラグビー(以下、WR)の会長選挙に、アルゼンチン代表“ロス・プーマス”の元主将で、現WR副会長のアグスティン・ピチョット(45歳)が立候補を表明した。
4月12日、ピチョットはツイッターで、WR会長へ立候補する意思を世界に向けて発信した。そこにはマニフェストとして3つの項目が書かれていた。
・今はラグビー競技にとってきわめて重要な変革のタイミングだ。
・伝統国と新興国、両方の発展を目指す。
・ラグビーの商業的価値を高める。ゲームソフトの開発など世界のより多くの人にラグビーの魅力を届ける方策を探る。
「ラグビーはグローバルな発展を目指すべきなんだ」
それはピチョットが、現役選手として、伝統国の厚い壁に挑んでいたころから訴えてきたことだった。
対抗は現会長と仏会長のタッグ。
選挙の対抗馬は現会長のビル・ボーモント、68歳。こちらはラグビーの母国イングランド代表の元キャプテンであり、ブリティッシュ・ライオンズ(現ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ)も含め41キャップを持つ名ロックだった。ピチョットは2016年、ボーモント会長就任時に副会長に就任。ともにワールドラグビー改革を推し進めてきた。
しかし4年が経過し、改選期を迎えたボーモント会長は、2期目に臨むにあたり、副会長候補にフランス協会会長のベルナール・ラポルトを指名。そしてピチョットは、袂を分かつ形で会長に立候補した。