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プルシェンコに憧れ、佐藤駿に伝える。
羽生結弦、スケートへの感謝と継承。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2020/04/14 11:40
自らが企画したアイスショーのオープニングで笑顔を見せる羽生結弦(右)とプルシェンコ。
「感謝の気持ち込めて凱旋報告いたします」
そんな2人へのリスペクトを羽生がストレートに伝える場となったのが、2018年4月13日から15日にかけて行なわれたアイスショー『Continues~with Wings~』だった。
平昌五輪の金メダルのあとに行なわれた公演である。
「これまでたくさん応援してくださったファンの皆様へ、 感謝の気持ち込めて凱旋報告いたします」
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このような趣旨から誕生したショーは、ファンへの感謝のみならず、羽生のさまざまな思いから形となった公演であった。
「すべてが自分の人生、スケートに受け継がれている」
ショーの冒頭、挨拶に立った羽生は語った。
「僕が今まで生きてきた中で、またスケートをしてきた中で、すべてが自分の人生、スケートに受け継がれていると思いますし、たくさんのことが自分に継承されて、ここまできているんだなという思いから、自分が大きなつながりを持った方々、そして偉大なスケーターの方々にオファーし、このショーをやらせていただくことができました」
参加した中にプルシェンコとウィアーがいたのは、自然な成り行きであった。
公演は、始まる前から場内に期待から来るであろう熱が感じられたが、始まれば何度も大きな歓声と拍手が起こった。
第2部、プルシェンコが滑り終えた後、当初、怪我の影響から滑る予定のなかった羽生がリンクに姿を見せると、熱はさらに高まった。
披露したのは8歳から11歳のときの『ロシアより愛をこめて』、シニア1シーズン目の『ツィゴイネルワイゼン』、そして『バラード第1番』。ジャンプはなかった。
だからこそ、ジャンプなしでもプログラムは成り立つことを示す迫力に満ちた演技に、歓声がこだました。