フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
プルシェンコに憧れ、佐藤駿に伝える。
羽生結弦、スケートへの感謝と継承。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2020/04/14 11:40
自らが企画したアイスショーのオープニングで笑顔を見せる羽生結弦(右)とプルシェンコ。
羽生の楽しそうな表情が印象的。
場内を沸かせた公演は、また、トークショーなど折々に姿を見せる羽生の楽しそうな表情が印象的でもあった。
「この世界に生まれてきて幸せだなと思いました」
「スケーターになれて、ほんとうによかった」
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出てほしいと思い、一緒に滑りたいと思っていたスケーターたちと作り上げた時間は、羽生にとっても貴重な時間であったことを思わせた。
プルシェンコやウィアーという憧れのスケーターと滑る充実感には、追いかけてきた背中があることの重要性が表れていた。
なりたい、目指したい、超えたい姿があって、そこを目標に真摯に取り組んできたからこその今日であることも、あらためて感じさせた。
羽生から次の世代へと伝わっていく何か。
公演後、羽生は次のシーズンは多くの試合に出たいと語り、その理由を説明した。
「今回のショーの中で、スケーターの方々がすごい偉大だなと思ったし、だからこそ自分は未熟だから、もっとがんばらなくてはいけないなと感じたからというのもあります」
公演は次へ進むエネルギーともなった。
羽生は、「受け継ぎ、伝えていく」、「継承」を公演の趣旨の1つに据えていた。プルシェンコやウィアーらを迎え、自身が何を受け継いだのかを示す意味もあった。
そして佐藤が全日本選手権で見せた羽生への眼差し、折々に語ってきた羽生を手本とする姿勢は、羽生から次の世代へと伝わっていく何かであるように思えた。
佐藤に限らず、おそらくは多くのスケーターが羽生に憧れ、目指していくのだろう。
2年前の、鮮烈な印象と余韻を残した公演、『Continues』のタイトルの通りに。