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浅田真央、引退発表から3年──。
今こそ笑顔と言葉の意味を再考する。
posted2020/04/10 11:50
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AP/AFLO
その夜、自身のブログに記した言葉は、瞬く間に広がり、メディアでも報じられた。
「ご報告致します。
突然ですが、私、浅田真央は、フィギュアスケート選手として終える決断を致しました」
2017年4月10日、浅田は競技生活から退くことを明らかにした。それを受けて、号外を出す新聞社もあった。
記者会見は翌々日の12日に開かれた。
東京都内の会場には、予定開始時刻の1時間前から大勢の記者やカメラなど取材者が詰めかけた。海外の記者も含め、最終的には約430人に上った。
「もういいんじゃないかなと思いました」
「本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。私、浅田真央は選手生活を終える決断をいたしました。
長い選手生活でしたがたくさんの山がありました。でもその山を乗り越えてこられたのも、たくさんのファンの方の応援があったからだと思います」
第一声の挨拶とともに始まった会見で、引退を決めたきっかけについて尋ねられると、こう答えた。
「(2014年のソチ五輪後、1年間の休養を挟んだあと)復帰してから、いい形でスタートできました。でも、そこから試合に出るにつれて『今のスケート界についていけるのかな』という思いが強くなったり、体の部分で復帰前よりも少し辛い部分が多くなりました。
なんとか1シーズンは乗り切れたのですが、2シーズン目からは『なんとか、なんとか頑張ろう』という気持ちでやってきました。でも最後の全日本選手権を終えて、もういいんじゃないかなと思いました」