フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
プルシェンコに憧れ、佐藤駿に伝える。
羽生結弦、スケートへの感謝と継承。
posted2020/04/14 11:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
KYODO
憧れる存在があることは大きい。
あらためてそう感じたのは、昨シーズンのある光景を思い起こしてのことだ。
2019年12月下旬に行われたフィギュアスケートの全日本選手権。試合を前に選手が一堂に会し、開会式と滑走順の抽選が行なわれた。
ADVERTISEMENT
多くの選手が待機する中、羽生結弦が現れると、目を輝かせるように視線を向けたのは佐藤駿だった。
昨シーズン、ジュニアグランプリファイナルで金メダルを獲得するなど、次代を嘱望される1人である。
羽生も憧れを胸に競技人生を歩んできた。
もともと仙台でフィギュアスケートを始めた佐藤にとって、同じクラブにいた羽生は、憧れであり、手本とする存在だった。
「何度も、繰り返して(映像を)観て勉強しました」
佐藤自身、羽生のジャンプをはじめ演技を観て学んだことを明かしている。その背中を追い、自身の成長を志してきた。
佐藤が追いかける羽生もまた、憧れを胸に、競技人生を歩んできた。
エフゲニー・プルシェンコ、そしてジョニー・ウィアーである。
プルシェンコは2006年のトリノ五輪で金メダル、2002年のソルトレイクシティおよび2010年のバンクーバー五輪では銀メダルを獲得するなど、フィギュアスケートの歴史に名を残すスケーターである。
ウィアーはオリンピックのメダルこそないものの、際立った表現をたしかな存在感とともに語られるスケーターだ。