スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
アリゾナと無観客試合。
MLB、エキシビションでも心を癒す。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/04/11 08:00
2019年から人工芝が導入されたチェース・フィールド。昨年冬には大学アメフトのプレーオフも行われた。
人心の荒廃を癒す効果は大きい。
選手やスタッフをかなりの期間、ホテルに缶詰にする発想にも、やや無理がある。
地域をコンパクトに絞り込めば、逆にクラスター発生の可能性が出てくるし、アリゾナ住民の反応も気にかかる。
捕手と球審(ロボット球審を使うという案が出ている)、野手と走者の密着度を懸念する声も聞こえてくる。
それでも、もし安全が保障され、穏やかな陽光のもとで野球の試合が行われるとしたら、たとえそれがエキシビションゲームであったとしても、人心の荒廃を癒す効果は大きいと思う。
パンデミックが人々のメンタル面に悪影響を及ぼすことは、医師や学者に指摘されるまでもなく明白な事実なのだ。
そのダメージを、少しでも減らすことはできないものか。
暴虎馮河の勇を揮ったり、火中の栗を拾ったりするような真似はしてもらいたくないが、悪夢が幾分なりとも収まれば、野球に内在する治癒効果が求められる日は、きっと訪れると思う。