スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
アリゾナと無観客試合。
MLB、エキシビションでも心を癒す。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/04/11 08:00
2019年から人工芝が導入されたチェース・フィールド。昨年冬には大学アメフトのプレーオフも行われた。
検疫可能なホテルを借り切って選手を隔離宿泊。
北のダニーディンから南のウェストパームビーチまで300キロ以上も離れているフロリダ州とは異なり、アリゾナのキャンプ地はコンパクトだ。
どの町も、半径約40キロの圏内に収まる。最北のピオリアから南端のメサまでは100キロと離れてない。実際に車を走らせると、1日に3つも4つも球場巡りをすることが可能だ。
施設は全部で10カ所だが、ダイヤモンドバックスの本拠地チェース・フィールド(フェニックス)まで含めると11に達する。
チェース・フィールドは2019年から人工芝に張り替えられたので、1日3試合を強行しても、グラウンドがへこたれることはない。
つまりMLBの構想は、大リーグの全30球団をここに集結させようというものだ。
このコンパクトな地域に検疫可能なホテルを借り切って選手を隔離宿泊させ、数カ月にわたって小綺麗な球場で試合を開催しようという発想。
果たしてそう楽観視できるのか。
キャンプ地の球場の観客収容人員は、どこも約1万人だが、無観客試合なので、これは考慮する必要はない。
フィールドのサイズは十分に公式戦に耐えうる。移動や交流のリスクは、最小限に抑えることができる。ボールパークの見た目も、眼にやさしい。
と見てくると、いいことずくめのようだが、果たしてそう楽観視できるものだろうか。
つい1カ月前まで無観客のオープン戦を実施してきた日本のプロ野球界からは、感染者が3名出た。球場が感染源となったわけではないようだが、この新型コロナウイルスは、どこに潜んでいるかわからない。