マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
もし夏の甲子園が無くなったら……。
「来年の選抜に3年生」の思考実験。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/04/07 11:50
センバツは中止になった。夏の甲子園は無事開催されると、誰が確信を持って言い切れるのだろうか。
なんなら2021年の夏という手も。
この内容では、もしかしたら、来春のセンバツまで実戦の場を減らされる1、2年生たちとその関係者から、少なからぬ抵抗を受けるかもしれないが、「2020センバツ」の中止以降さんざん苦しみ、悩んだ3年生たちの姿を目の当たりにしてきた下級生たちだ。ここは一番、ぐっとこらえてくれることを期待したい。
なんなら、失った「2020夏」をどうしても取り返したい! と熱望する3年生については、“高校4年生”として「2021夏」への参加を考えてあげてもよいぐらいに考えている。
もちろん、学業的には「留年」の扱いになろう。
それでも、乱暴な表現を承知でいわせていただければ、現実問題として「野球をするために進んだ高校」なら、1年留年してその本望が果たせるのなら、中途半端な達成感で納得のいかない3年卒業をするより、本人にとっては、ずっとすっきりとした健康的な「高校4年間」なのではないか。
非常識、で立ち止まらずに。
普通なら3学年で行う夏の大会に熟練の“4年生”が加わって、大会は一段と高レベルの熱戦が展開されよう。
とはいえこちらは、下の3年生にとって最後の出場機会が無くなる可能性があるということで、現実味はかなり低いが……。
何を非常識な、と思われる向きも多くおられることと思う。
しかし今は、見えざる難敵によって、世界中がかき乱されている「戦乱の世」であろう。何が常識で、何が非常識なのかが定義しづらい時代である。
こういう世情が続くのなら、苦境を切り抜けるために、いろいろな「特例」を設けてもよいのでは、と思う。