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香川真司がレアルと戦った日。
2部にいても、頂点への志は折れず。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2020/03/29 11:50
香川真司とサラゴサは、マドリーに完膚なきまでに敗れた。しかし、トップオブトップとの戦いに胸は躍っていた。
「クロース別格やね」
ただ、久々に対戦するトップレベルの相手は、簡単にプレーさせてはくれなかった。
78分、ペナルティエリア前で出した一本のスルーパスをフェルナンデス監督は絶賛した。これも久々のことではある。
「前を向いた時ああいうチョイスができているというのは感覚がいいです。すごく意識、ボールを受ける時のタッチだったり、相手との距離、視野、そういうものがここ数試合改善できてるかなと」
それでも、手応え以上に強烈なのは、相手の凄さだった。
「でもあいつらの雰囲気と選手の体つきとかさ、セルヒオ・ラモスとか、バランとか、クロースとかすごかった。クロース別格やね。だからね(元バイエルンでドイツ時代を良く知っている)、すごい悔しかった。ホームで0-4はちょっとね……」
手応えよりも悔しさ。口調は強くなった。
レアルについて、言葉が溢れてくる。
「レアルは横幅がすごい、幅を使うのがすごかった。1人1人の距離感は守備の時も攻撃の時も幅がある。プレスに行くと、一発でサイド変えられて。マルセロはサイドハーフもカバーしないで上がりっぱなしなんだけど、セルヒオ・ラモスがその左までカバーしている。
その幅をつくためにこっちは出ていかないといけないけど、守ってから出ていく体力がない。あそこで攻撃に出られたらチャンスだけど、出られない。攻撃もマルセロが上がってて、とにかく攻撃の幅がすごい。クロースの左サイドでちょっとやって、サイドを変えてルーカス・バスケスとカルバハルを使ってくるし」
レアルについて、言葉が溢れてくる。
香川は今季2部でのプレーを選択するにあたり、レアルやバルセロナといった強豪と対戦したい気持ちに一旦蓋をした。だが、カップ戦で期せずしてやってきたレアル戦。思いは一言で言いあらわせるものではない。
「(対戦相手に)レアル来いって思ってた。中途半端に強いところに負けるくらいならね。トップの中のトップですから、実際対戦するといろんな感情が。やっぱり最高。やっぱりあそこを目指さなきゃいけないし。0-4でまけて、相手の涼しい顔を見てたら悔しくなってきて……。でも、それを味わえてよかった」