松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
車いすフェンシング・加納慎太郎と
松岡修造の対談に予期せぬ人物が参入!
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byNanae Suzuki
posted2020/05/03 08:00
真新しいナショナルトレーニングセンター東館にて、車いすフェンシングの加納慎太郎と松岡修造。
「車いすフェンシングは想像以上に怖い」
松岡「いやあ、良い話ばかりでした。コーチは熱い方ですね」
加納「圧倒されます」
松岡「実際に体験させてもらって、この車いすフェンシングは想像以上に怖いことがわかりました。対戦という点ではテニスと同じだけど、もっと本能に訴えかけてくる。昔、ヨーロッパの騎士たちはこうやって生きるか死ぬかの感覚でやっていたんだろうなって。初めて剣を取ったとき、そう感じなかったですか」
加納「僕は元々剣道をやっていたので。そういう感覚にはならなかったですね」
松岡「でも、剣道の試合とはだいぶ違いますよね」
加納「握った感覚は違いますね。ただ、僕は父親が剣道をしていて、子どもの頃からキャッチボールをする感覚で父親と剣道をしてきたんです。竹刀を通して会話をしてきたから、怖さというものはない。戦うことも好きなので、自分には向いている競技だと思います」
松岡「車いすフェンシングは、最初に互いの車いすの距離を測るところからスタートするんですね」
加納「そうです。選手個々に腕の長さが違うので、短い方の選手が不利にならないように基本は腕の短い方に合わせます。松岡さんの方が僕より腕が長いので、松岡さんは剣を持つ腕の肘を直角に曲げて、僕は剣を持った腕を完全に伸ばした状態で剣先が松岡さんの肘の内側に届くようにする。その距離で競技を始めます」
想像より薄かったフェンシングのジャケット。
松岡「このメタルジャケットって言うんですか。生地はもっと丈夫だと思っていたら、全然そうじゃない。さっき胸のところを突かれて、何度も『痛い』って声を上げそうになりました。
マスクをすると、相手の顔もまったく見えなくなる。映画『千と千尋の神隠し』に出てきた“カオナシ”みたいな感じ(笑)。感情が読めないから、相手を不気味に感じます」
加納「感情はむしろ、別のところで判断しますね。相手が大振りになったりするとイライラしているのかなと思うし、逆に力が抜けていると冷静なのかなって判断します」