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“J7”ながらJ百年構想クラブ入り。
南葛SCとキャプテン翼と葛飾の夢。 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byAkihiro Serikawa

posted2020/03/22 20:00

“J7”ながらJ百年構想クラブ入り。南葛SCとキャプテン翼と葛飾の夢。<Number Web> photograph by Akihiro Serikawa

高橋陽一先生(右)、岩本GMと南葛SCの横断幕。翼くんとともに、将来的なJリーグ入りへ羽ばたこうとしている。

申請すること自体めったにない。

 Jリーグ百年構想クラブとは、Jリーグへの入会を目指し、Jリーグから承認されたクラブのことで、かつては「Jリーグ準加盟クラブ」と呼ばれていた。

 現在、Jリーグ百年構想クラブは9クラブ。南葛SCを除くと、いずれもJFLか関東1部、つまり、J4、J5に相当するリーグに所属している。

 一方、南葛SCが所属する東京都1部はJ7に相当する。このカテゴリーのクラブがJリーグ百年構想クラブとして認められるのは、異例中の異例だ。

「そもそも、このカテゴリーのクラブが申請すること自体、めったにないことなんです。早くて地域リーグ1部、ほとんどがJFLに上がってから。承認されると、毎月登録料を支払わなければならない。早めに申請して認められると、それだけお金が掛かりますからね」

 そう語るのは、南葛SCの岩本義弘GMである。紙媒体の制作やウェブメディアの運営、フットサル場の経営やセルジオ越後氏、高橋氏らのマネジメントなどを手掛けるスポーツ事業会社の代表取締役を務めた人物だ。

 '17年の退社後、高橋氏とともに株式会社TSUBASAを立ち上げ、『キャプテン翼』関連の事業を進めるとともに、ウェブメディアの編集長や解説者を務めるなど、自らもメディアに携わっている。

GM最初の仕事は柴村へのオファー。

 岩本GMが正式に南葛SCのフロントに入ったのは、'18年2月のことだった。

「高橋先生と二人三脚で会社を運営していましたから、いつかは南葛SCに携わることになるだろうなと思っていたし、それまでも女子チームのチャレンジリーグ(なでしこリーグ3部)挑戦のサポートなどはしていたんです。でも、こんなに早く本格的に携わることになるとは。東京都1部に昇格したタイミングで、高橋先生から『ここからより力を入れてJ1を目指したいから、入ってもらえませんか』と」

 その要請にふたつ返事で応えた岩本GMの最初の仕事は、ラトビアやウズベキスタン、ポーランドのクラブを渡り歩いた柴村直弥にオファーを出すことだった。

 柴村はこのとき、同じ東京都1部のクラブに所属していたが、岩本は熱心に誘った。

「柴村とは以前から知り合いだったんですけど、プレーヤーとしての能力や人間性はもちろん、J1のヴァンフォーレ甲府でプレーした翌年に東京都1部のクラブに移籍したキャリアも面白かったし、東京都1部を熟知しているのも魅力的で、どうしても来てほしいと。うちに来れば、解説業とか翼関連のビジネスとか、仕事もいろいろ広がると思うよと。彼もすごく悩んでいましたが、最終的には来てくれました」

【次ページ】 W杯イヤーに全員と膝を突き合わせて。

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