左右ハーフ、トップ下、ボランチも。

　情熱的で勉強熱心なコチャクは対戦相手を入念に分析し、勝つために最大限の努力を惜しまない。その分練習は厳しく、選手にいつでも全力を要求する。

　きついことはきつい。戦術もシステムも毎試合違う。

「（守備は）4枚がいいだの3枚がいいだの言い出す選手は、もちろんいるけど。でも、しっかりと準備しながらやれている楽しさもある」

　原口は、そんな采配を好意的に受け入れている。

　コチャクからの信頼は絶大だ。

　ボランチ、トップ下、左右のハーフなど様々なポジションで起用されるなか、常にフル出場を続けている。監督からの信頼は責任感につながり、原口はこれまで以上にチームのことを考えるようになっている。

　自分のプレーだけではなく、どうすればチームがうまく回るのか。どうすればチームを勝たせることができるのか。

　チーム内での役割の変化についてどう思うか？　というこちらの質問に対しては、次のように答えてくれた。

「ここまで中心でやってるというのは、僕のキャリアのなかでも少ないと思う。（ヘルタ）ベルリンのときは出てたけど、変な話、歯車的な役割だと思っていたし。これだけ毎試合90分使ってもらって、デュッセルドルフでもそんな感じだったけど、今回いろんなポジションで信頼して使ってもらっているので」

信頼を得ながらも勝てないストレス。

　選手としてやりたいプレーはある。「もうちょっと前で使ってもらえたら、もうちょい数字が出そうだというのもある」と笑う。

　でも、それ以上に信頼してくれる監督のために、恩返しをしたいという思いがどんどん強くなっているそうだ。それだけにチームとして悪くない内容ながら、なかなか勝てない時期は苦しかったと本音を吐露する。

「結果が出なかったから、そっちのストレスの方があったかな。これだけ信頼して使ってもらってるなかで、なかなか勝ち点3につなげられていないことがストレスだったと思う。チームとして頑張って、ハードワークして、練習でも試合でも努力してたけれど、それが報われない状況が監督が新しくなってから続いていたから」

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