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まるで「違う人間」のような充実。
菊池雄星、2年目の覚醒への手応え。
posted2020/03/15 08:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
メジャー2年目を迎えるマリナーズ菊池雄星が、劇的に変わった。
投球フォームが変わり、球質が変わり、スピードが変わった。
言うまでもなく、マイナスのベクトルに向かったわけではない。最高峰レベルでプレーする28歳のプロ野球選手に、若手と同じような、成長というフレーズが似つかわしくないとすれば、スケールアップと言い換えてもいい。それほど、菊池は大幅な変貌を遂げていた。
昨年9月25日。メジャー1年目の最終登板を終えた菊池は、目まぐるしかったシーズンを、冷静な口調ながら、様々な思いをかみ締めるように振り返った。
「1年間ローテーションを回らせてもらって、この答えというのは今出るものではない。悔しい思いの方が強いです。野球以外のことも含めてたくさん学びましたけど、宿題はたくさんある。すべては来年。質の高いオフシーズンにしたいなと思います」
首脳陣は「伸びしろ」に期待した。
1年目は、32試合に登板し、6勝11敗、防御率5.46。年間を通して先発ローテーションを守ったとはいえ、納得のできる内容ではなかった。故障防止を最優先する首脳陣の意向もあり、「ショート・スタート」や球数制限など、幾多の配慮を受けてきた。
周囲の期待に応えられなかった、との思いだけではない。
菊池は、自分自身の足りなさと、悔しさを痛感していた。
その一方で、マリナーズ首脳陣は、菊池の「伸びしろ」を予め想定していた。
チームの再建策として、2021年に勝負をかけることを公言し、これまでに経験豊かなベテラン選手を放出した。その中で、新たに得た重要なピースの1人が菊池だった。