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大山加奈が東京五輪の対戦国を分析。
最強セルビア、宿敵・韓国へ対策は? 

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大山加奈

大山加奈Kana Oyama

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posted2020/03/13 15:00

大山加奈が東京五輪の対戦国を分析。最強セルビア、宿敵・韓国へ対策は?<Number Web> photograph by AFLO

2月から代表活動がスタートした女子バレーボール日本代表。新型コロナウイルスの影響で3月に予定されていた海外合宿は自粛となった。

大エースはいないが手強いブラジル。

 3戦目はブラジル。バレーボールに精通している人だけでなく、ブラジルと聞けばバレーボールの最強国というイメージを持つはずです。実際、私が現役時代はブラジルはまさに最強軍団でした。守りも攻撃もすべてにおいて穴がなく、シェイラ・カストロ選手のように優れたテクニックやスピードを誇る選手もいますが、誰か1人がすごいのではなく、個々の力が強く、なおかつ組織としても強い。手も足も出ないような相手でした。

 そんなブラジルも長年同じメンバーで戦い続けてきた結果、世代交代があまりうまくいきませんでした。前回の2016年、母国開催のリオデジャネイロ五輪準々決勝で中国に敗れ、2018年の世界選手権もファイナル6に残ることができなかった。

 ただ、圧倒的な力があるかといえば、以前ほどではありませんが、ワールドカップでは無敗で優勝した中国をフルセットまで追い詰めたのがブラジルです。サーブ戦術を徹底し、ミドルブロッカーのテンポに合わせ、サイドやバックアタックに入る選手と同時に複数が攻撃を仕掛ける。その結果、あれほど鉄壁だった中国のブロックも太刀打ちできず、あわや初黒星、というところまで追い込みました。

 セルビアのように大エースと呼べる存在はいませんが、組織力が機能したらどんな相手もなかなか止められない。手ごわい相手であるのは間違いありません。

ライバル韓国への対策は?

 そして4戦目はアジアのライバルと言われる韓国ですが、近年は非常に分が悪い。4年前のリオ五輪最終予選、そしてリオ五輪の初戦、さらに2018年のアジア大会3位決定戦、昨年のワールドカップと日本は韓国に敗れています。

 大エースのキム・ヨンギョン選手はもちろんですが、昨年からステファノ・ラバリニ監督が就任。組織力に磨きがかかり、ファーストタッチは常に高く、余裕を持った状態でアタッカーがしっかり助走して攻撃に入る。ワールドカップではヨンギョン選手よりも179cmのイ・ジェヨン選手にブロックの上からスパイクを決められてしまいました。

 決勝トーナメントへ進出するには、最低2勝。3勝すればさらに上の順位で予選グループリーグを突破できます。そのためにも、絶対負けられない相手が韓国。好き勝手に攻撃させないようサーブで攻めること、そして日本も韓国と同様に攻撃時は余裕を持つことが勝敗を分けるカギになるはずです。

 グループリーグ最終戦はドミニカ共和国。ワールドカップでは初戦に対戦し、日本が3-1で勝利を収めました。攻撃力、高さはさることながら201cmのブライエリン・マルティネス選手も常にサボらず助走へ入り、カバーも入る。身体能力任せのチームではなく組織力もあり、ワールドカップには出場しなかったリベロのブレンダ・カスティージョ選手もオリンピックには出場するはずです。

 勢いに乗せる前に、いかにたたみかけることができるか。最後まで目が離せない戦いになりそうです。

【次ページ】 自国開催のメリット、デメリット。

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荒木絵里香
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