アメリカでも「対岸の火事」ではなくなった。

　コロナウイルスはアメリカの地上波テレビのニュースでも連日報道されてきたが、当初は「対岸の火事」みたいな感じだった。

　ただし、米国人の乗客もいたために日本に寄港したクルーズ船の映像が連日、アメリカの地上波テレビで映し出されていたお陰で、メジャーリーグのキャンプ地の1つである「砂漠の町」アリゾナ州に住む人々にも強い印象を残していた。

　当初はほんの数州だけだった感染者も、3月9日の時点では34州、550人を超える発症例が報告され、死亡者も21人に達したことで、スポーツ界に従事する人々も無関心ではいられなくなった。

2001年のテロ以来となる延期。

　世界保健機関（WHO）のテドロス・アダノム事務局長は、9日の会見で、コロナウイルスの感染拡大について「パンデミックの脅威が現実となった」と述べながらも、中国や韓国での新たな感染者が減っていることや、中国の感染者の7割が治癒したことなどを例に挙げ、こう言い切った。

「歴史上、人間がコントロールすることができる最初のパンデミックになる」

　それも随分と楽観的なコメントに聞こえるが、とにかく、そうなるための最初のステップはやはり、「予防措置」しかない。

　アレルギーや感染症、免疫関連疾患などのワクチン開発の研究機関代表であるアンソニー・ファウチ博士は8日、米ネットワーク局のFOXに出演して、きっぱりこう言っている。

「今から1年以上もかかるワクチン開発も、今の感染拡大を阻止する答えではありません。つまり、米国でも次の数週間で、爆発的に感染者が増えていく可能性がある」

　2001年の世界同時多発テロ以来となる、メジャーリーグの延期。開幕がいつになるのかなんて、今は誰にも分からない――。