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日本ラグビーの交渉役、藤井雄一郎。
<後編>サンウルブズの可能性と存続。
posted2020/03/16 11:55
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Getty Images
藤井強化委員長は、サンウルブズのGMという肩書きも持つ。昨年3月、「2020年限りでのスーパーラグビー除外」という悲報に見舞われたサンウルブズだが、そのラストシーズンとなる今季は、福岡でレベルズ(オーストラリア)を破り、参戦5年目で初めてのスーパーラグビー開幕戦白星発進。その後は白星に恵まれず、新型コロナウイルス感染拡大の影響でホーム試合の国外移転、遠征長期化、中断など想定外のタフな状況に置かれているが、メンバーがどれだけ替わっても貫かれるアグレッシブなラグビースタイルは海外でも高い評価を得ている。
今季のホーム試合はレベルファイブスタジアム(福岡)での開幕戦は1万人、続く秩父宮ラグビー場のチーフス戦は1万8000人を動員。人気低下をささやかれるスーパーラグビーでは貴重な動員力を誇った……そこで改めて思う。
なぜこのチームが今年限りでスーパーラグビーを除外されてしまったのだろう? 藤井氏はこれも、「交渉能力の欠如」が招いたとみている。
スーパーラグビーに複数チームを。
「SANZAAR(南ア、NZ、オーストラリア、アルゼンチンによるスーパーラグビーを運営する組織)が言って来たことなんて、めちゃめちゃです。『15チームだと日程が組みにくい。それはサンウルブズが入っているせいだ。サンウルブズを抜いた方がリーグの価値があがる』なんて、どう考えてもいちゃもんですよ(笑)」
――2023年ワールドカップの投票で日本がフランスに2票入れて、南アが意趣返しでスーパーラグビーから日本を除外しようとしたとも言われました。
「それはあったでしょうね。でも、向こうがそう言ってきたから『はい、わかりました』と言って、諾々と引き下がっていたら何もできない。何が大事かと言ったら、日本代表が強くなって、日本ラグビーが盛り上がっていく、国際競争力をつける、若い人がラグビーをやりたくなることです。
今回のW杯で日本代表が躍進した理由を考えたら、スーパーラグビーが果たした役割は大きい。これは誰が見たって明らかなことです。タフなツアーをして、世界のトップクラスの選手と毎週体を当てて、ピッチ上でもピッチ外でもタフになった。僕の理想をいえば、日本は撤退どころか、スーパーラグビーのチームを複数、2~3チーム持った方がいいと思う。
日本にスーパーラグビーのチームが複数出来れば、国内にも競争が生まれるし、日本人コーチを育成、経験を積ませる機会も増やせる」