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日本ラグビーの交渉役、藤井雄一郎。
<後編>サンウルブズの可能性と存続。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byGetty Images
posted2020/03/16 11:55
来季以降のスーパーラグビー離脱が発表されているサンウルブズ。藤井氏は、チーム存続へ向けた交渉の余地はあると話した。
日本ラグビーは価値を売るべき。
――トップリーグに来る外国人選手に話を聞いても、日本ラグビーのレベルの高さにはすごくリスペクトを持って来ています。2015年以前は、本当に手抜きで大金をもらえるつもりでくる選手もいたけれど、そういう意識レベルの選手はもうほとんどいなくなりました。数年前とは全然違いますよね。
「次に必要なのは、価値があがったものを、対価を払う人のところへちゃんと売ることです。昨年のワールドカップで日本代表があれだけ躍進して、日本中にラグビーブームが起こって、ワールドカップ組織委員会は60億円もの収益をあげた。なのに、日本協会には全然お金が入ってこない。今年(2020年)はティア1の強豪国と6試合やるというのに、強化費は億単位で削られてるんです。もっと減らせ、合宿も減らせと言われている。今年のテストマッチによる世界ランキングは、次のワールドカップのシード順に影響するというのに。
選手があれだけ頑張ってワールドカップで勝って、日本ラグビーの価値を上げた。なのに、日本協会ではそれをちゃんと売ることができていない。結局、いままでのラグビー協会の仕組み、やり方、マーケティングを委任している業者が、そういう方向を向いていないから対応できない、発想も出てこないんです。
これは批判しているわけじゃない。今までのやりかた、やってきたことを否定しているわけでもない。ただ、今は日本協会理事の方には、各分野のスペシャリストが揃っているので、その方の力を借りて変化できるチャンスがある。新しいことに取り組んでいかなければ、次の時代を戦っていくことはできない、次のステージには行けない、ということを僕は言いたい」
――確かに、ラグビーに関心を寄せる人や企業は多くなっているし、支援の形態も多様化してきた。選手も終身雇用より、キャリアアップを目指して転職したり大学院で勉強する選手が増えています。
「それよりも、チャンスをつかもうという選手が増えていますよね。だからサンウルブズの今後、日本とスーパーラグビーの関わり。まだまだ動きはあると、僕は見ています。そして、動かなければ未来はないと思っています」