オリンピックへの道BACK NUMBER
「親への一生の恩返しになる」
スケボー白井空良、五輪で金を狙う。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by Yuki Suenaga
posted2020/03/08 08:00
白井は、手すりや階段などを模した構造物を使って技を繰り出す「ストリート」で東京五輪の金メダルを目指す。
「世界の誰もできない、自分だけの技をする」
何よりも、ずっと抱えてきた思いがある。
「世界の誰もできない、自分だけの技をする」
もっとうまくなりたい、そしてみんなをあっと言わせたい、そんな欲求が、彼を駆り立ててきた。
他の競技のように、常に見てくれるコーチがいるわけではない。自身で動画などを参考にしつつ、研究を重ねてきた。
何度失敗しても、繰り返し練習し続けてきた。
「親への一生の恩返しになると思う」
そしてスケートボードが初めて採用されたオリンピック、東京大会が近づいている。
「以前は、取材のとき、『あまりオリンピックに興味はない』と言っていました。でも世界大会に出るようになって、オリンピックに出たいと思い始めました。今はオリンピックに出て金メダルを獲得することがいちばんの目標です」
金メダルを目標にするのは、世界一になりたいという自身の気持ちとともに、周囲への感謝があるからだ。
「金メダルを獲ることによって、親への一生の恩返しになると思うし、支えてくれた人たちのためにも、すごく獲りたいんです」
そんな思いに、白井の心根、性格がうかがえた。
今年3月をもって高校を卒業、進学はせずスケートボードに取り組んでいく。
それもまた、スケートボードへの愛着と、覚悟の表れだ。