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流大とも田中史朗とも違う“ゴツさ”。
サンウルブズSH木村貴大の挑戦。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2020/03/05 20:00

流大とも田中史朗とも違う“ゴツさ”。サンウルブズSH木村貴大の挑戦。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

テスト生としてサンウルブズに加入し、スコッド入りを果たした木村貴大。国外開催に変更された遠征に追加招集された。

追加招集に「木村貴大」の名前が。

 そんな、じりじりしていたサンウルブズのファンに「おっ」と思わせるニュースが届いた。ハリケーンズ戦を終え、開催地が変更されたブランビーズ戦に向けオーストラリアに移動するサンウルブズに追加招集された選手リストに「木村貴大」の名前があったのだ。

 木村の追加招集には、多くのファンが反応した。ネット空間には「おめでとうございます」、「やったね」の声が飛び交った。それは、木村のユニークな行動へのファンの評価だった。

 招集される直前に行われたハリケーンズ戦。木村は、国内居残り組が合宿している千葉県市原市のホテルから、インスタグラムを使って実況・解説を配信したのだ。チームメイトの立場からの皮膚感覚あふれるコメントに、ファンは好意的に反応した。

 ファンが熱烈に反応したのは木村ら選手たちのコメントだけが理由ではない。ファンに向けたアクションを、選手自身が企画して発信したことが観る人たちの心をつかんだのだ。

背番号9のイメージとは違う体つき。

 では、木村とはどんな選手なのか。

 サンウルブズは今季最初の遠征に旅立つ前、国内で2試合を行っていた。木村がその2試合でプレーしたのは、敗れたチーフス戦の終了直前、わずか5分間。ボールに触ったのは「1回だけ。爪痕を残そうと、タックルだけは行こうと思ったけど……」と唇をかんだ。

 タックルだけは――。

 その言葉は、木村という選手の重ねてきたキャリアそのものだ。

 木村のポジションはスクラムハーフ(SH)だが、多くの人が「背番号9」に抱くイメージとは少しギャップがあるかもしれない。比較的小柄でも、俊敏で軽快な動きで素早くパスやキックを繰り出す――多くの人はSHにそんなイメージを持っているだろう。ワールドカップで日本代表を8強進出に導いた流大や田中史朗、早大を大学日本一に導いた齋藤直人……。

 ところが、木村は何というか、まず見た目から違う。ガタイがゴツいのだ。

【次ページ】 大学時代にフランカーから転向。

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