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メジャー初制覇! 原英莉花が受け継ぐジャンボイズム「天才になるべく、練習方法を知っている」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/10/04 17:03
日本女子オープンで国内メジャー初制覇を達成した原英莉花
尾崎が描いた物語の続きを。
尾崎は、これまで神経が行き届かなかった部分に刺激を与える術をいくつも知っている。尾崎に出会う前まで、原はパワーを持て余していた。
「もともと飛ばすことにすごく興味があったんですけど、なかなか球に自分のパワーを伝えきることができなかった。でもキャッチボールだったり、バッティングだったり、ミニクラブを通じて、体の使い方がうまくなった。下半身とお腹を繋いでいく、というか。昨シーズンが終わってからも、右手の使い方に違和感があって、教えてくださいとお願いしたら、テニスのスマッシュの練習とかを教えてくださいました。他のスポーツの動きから閃くことがある」
ラウンド中、常に意識する教えはあるかと問うと、原は困惑しつつ、こう答えた。
「私のスイングに、教えて頂いたことが詰まっているので……振れ! ですね」
近い将来、尾崎はエンディングを迎えるだろう。だが、その物語には続きがありそうだ。原の中に尾崎はいた。
原英莉花Erika Hara
1999年2月15日、神奈川県生まれ。高校在学中の15歳で尾崎将司に師事。'17年プロテスト不合格も、'18年合格。'19年リゾートトラストレディスでツアー初優勝。“黄金世代”7人目の優勝者となった。同年「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」受賞。173cm、58kg。