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引退した広島・庄司隼人との再会。
フロント入りしても野球の虫は健在。

posted2020/02/19 11:40

 
引退した広島・庄司隼人との再会。フロント入りしても野球の虫は健在。<Number Web> photograph by Kyodo News

広島のキャンプに庄司隼人の姿はない。しかし、野球との新しい関係性を築く日々はすでに始まっている。

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Kyodo News

 安倍さん……と声をかけられた時に、おおっ! とすぐに返せなかったのは、その青年の顔がすごくやさしくなっていたからだ。

 毎年の今ごろ、グラウンドで顔を合わせていた時は、まなじりもっとつり上げて、「狼」のような横顔でバットを振っていたものだ。

 そんな記憶しかなかったから、目の前にいるスリムな青年が、昨年まで広島カープの内野手としてユニフォームを着ていた庄司隼人君だとわかるまでに、ちょっと時間がかかった。

 28歳にして、おそらく人生初めての名刺交換ではないか。

 静岡の常葉橘高校を出てから、プロ野球に10年。

 そのわりには、差し出すタイミングも、差し出した“低さ”も堂に入っていて、差し出された名刺が震えてもいなかった。

10年目の引退、そしてフロントに。

 高校の時に取材で会って、その「野球の虫ぶり」に共感、感動して以来、春の日南キャンプのたびに、球場に彼を訪ねていた。

「10年目にして、初の一軍キャンプですよ!」

 ほんとにうれしそうに声を弾ませていた10年目の昨季を最後に、現役を退いた。

 一軍生活はわずかだったが、高校を出てプロ生活10年なら、立派に“お祝い”だろう。

 そんな「送別コラム」を、秋にこの連載で書いたら、それを読んでくれた本人が電話をくれて、あらためて“お祝い”の言葉を贈ることにもなった。

 そして、お互い1日しか行かないソフトバンクのキャンプで再会することになるのだから、彼とはつくづく縁があるのだろう。

 今年からスコアラーに就任し、カープのフロントの一員として働くことになったという。

 おめでとう! もう一度、祝福だ。

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