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大流血2冠防衛の生傷男・内藤哲也。
弟子・高橋ヒロムとの対決への思い。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2020/02/16 19:00
KENTAをの次は高橋ヒロムと対戦……内藤哲也の本当の狙いはなんだ?
「現在の高橋ヒロムを感じたい」
高橋がカムバックするのには長い時間を要した。
だが内藤は、高橋のそのメンタルの強さを見逃さなかった。
昨年、11月3日、大阪府立体育会館に首の負傷が癒えた高橋が戻って来た。高橋が、フェンスにその体を自ら叩きつけて、リング上でブリッジしたままマイクアピールしたことを内藤はたくましいと思った。首の骨を折って、命さえ危ないと言われたほどの男が、ブリッジでアピールしてファンに「大丈夫」と宣言してのけた、そのプロフェッショナルな姿勢が、内藤の心を揺らしたのだ。
「本当は(高橋が日本に)帰ってきてからすぐにでもやりたいなと思っていたんですけど、今が最高のタイミングでしょうね。お互いチャンピオン同士ですし、ここまでの期待感っていうのを1年前や2年前じゃ生み出せなかったかもしれないので。
いや、3年後、4年後、もっと期待感を生み出せるかもしれない。でも、その未来への保証はないですから。現在の高橋ヒロムを感じたいですね。そういう意味では、ベストなタイミングかもしれないですね」
「ボクの中ではタイトルマッチだと」
内藤は縫った額の傷が「ズキズキする」と言いながらも、嬉しそうに高橋を語った。
「高橋ヒロムへの注目度ってすごく高いですからね。そして、結果も残している。そのドームの権利証もいいですけど、なんなら『ニュージャパンカップ』とかも出ちゃえばいいんじゃないですかね。そんなことをボクは思いましたし『内藤に勝ったら次のビッグマッチでタイトルに挑戦させろ』とか、それぐらいの大きい勝利にはなるでしょうね、彼がボクに勝ったら。
新日本が認めるかわからないですけれど、ボクはもし負けたら彼にベルトをあげるぐらいの気持ちで大田区のリングには立ちたいと思います。正式にはノンタイトルでも、ボクの中ではタイトルマッチだと。負けたら彼に2本のベルトを渡すつもりでリングに立ちたいと思います」