「この方向でスケートがしたい」という確信。　

　先の言葉は、そのギャップに触れているようだった。今シーズン演じてきた2つのプログラムが「自分の呼吸じゃない」と感じたのは、勝負の観点から構成を考えてきた面もあっただろう。

　その反省もあっての今回の選択だ。今回のプログラム変更について「外発的動機はまったくないので」と語ったのも示唆的だ。

　そして滑り終えたあとに得たのは、「この方向でスケートがしたい」という確信だった。

　フリーのこれからについて、こう語る。

「ゴールは見えています。（4回転）アクセルを入れて、バラ1（『バラード第1番』）みたいなフリーを作りたい。高難度という意味のアクセルじゃなくて、自分のプライドとしてのアクセル。そのうえでバラ1みたいなシームレスな演技を」

「バレエとか何回もやりますよね」

　久しぶりのプログラムで得た手ごたえは、昨シーズンから取り組んできたプログラムがあってこそ。

「（『秋によせて』『Origin』には）ありがとうと言いたいです。彼らにはすごい、いろいろなことを学ばせていただいたし、1年半もかけるのはどうなんだろうと自分も思うけどあきらめないで追い続けたからこそ、今のバラ1、SEIMEIがある」

　さらにこんなことも語った。

「フィギュアスケートは毎年新しいことをやったり、同じプログラムをやっても2年くらい。それって真理なのか、と思います。バレエとか何回もやりますよね。自分もそういう道に行ってもいいんじゃないか、そういうことを考える」

　霧は晴れた。

　何がどうあれ、自身の信じる、進むべき道を、惑わされず歩むだけ。

　シニアの主要国際4大会にジュニア2大会の計6冠「スーパースラム」を男子で史上初めて達成することになった四大陸選手権は、新たなスタートを切った大会でもあった。
 

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