セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
サンプドリア移籍決定の吉田麻也。
ラニエリも「主役になれる」と歓迎。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2020/02/08 11:50
プレミアでこれだけ長期間プレーした日本人CBは、吉田麻也しかいない。守備の国カルチョへの挑戦で、さらにその見識とプレーの幅を広げてほしい。
早い段階で高いパフォーマンスを。
現地報道ではレンタル料20万ユーロの6カ月契約で、来季延長のオプションもあるという。
地元メディアの識者は、プレミアリーグで154試合を戦った吉田の経験やキャリア通算37得点というゴール感覚に注目したうえで、イタリアン・カルチョへの順応に問題はないだろうという見方をしている。
逆に言えば、早い段階で高いパフォーマンスを要求されているということだ。
獲得が決まったとき、ラニエリは「右のCBが欲しかったところだ。(後半戦の)主役になれる」と歓迎するコメントを出している。
レスターやフルアム監督時代に何度となく対戦した“サウサンプトンDFヨシダ”を覚えていないはずがない。
冬の補強が終わったことで、チーム内のポジション別序列はリセットされた。センターバックの優先順位はほぼ横一線といえる。
賢人であるラニエリは、吉田に必ず機会を与えるはずだ。そのときに一発満点解答を見せるくらいの気概が欲しい。
「100%尽くせ。激しく食らいつけ」
残留争いは最後まで気を抜けない戦いが続く。
指揮官は「クラブ売却話は経営陣の話。現場は現場。私は選手たちを喧騒から守る」と宣言。選手たちには「100%を尽くせ。どんなボールにも激しく食らいつけ」と戦いに集中しろと尻を叩く。
2月3日、吉田はインスタグラム上にイタリア語で発信した。
「このチャンスを与えてくれたサンプドリアに感謝します。早く“マラッシ”(本拠地ルイジ・フェラーリスの愛称)のピッチに立ちたくてたまらない。新チームに全力で尽くします」
四方を囲まれた本拠地フェラーリスには、どことなくイングランドの雰囲気がある。残るシーズンは16試合。守備の国に渡った吉田は、セリエAという新たな戦場に挑む。