長身かつ技術に長け、スピードも。

　冒頭で紹介したボローニャ戦後も勢いは止まらない。アウェーで行なわれた第16節のナポリ戦では、俊足で知られるあのカリドゥ・クリバリーをスピードで振り切ってゴールをねじ込んだ。

　185cmの長身ながら足下が繊細で、ボールを持ってもスピードが落ちない。さらに左足のキックは丁寧で視野も広く、味方へ確実にボールをつなぐ。体も強く、少々の寄せにはびくともしない。タフなボール奪取から素早く攻撃へ切り替え、カウンターに転じていくパルマのサッカーにピッタリの選手である。

　冬の移籍市場で去就が取り沙汰されるのは、必然だった。

　当初はステーファノ・センシやニコロ・バレッラらが相次いで故障したインテルが有力ではないかという噂も上がった。しかし、ユベントスが先行。地元紙によればアタランタに対して高額移籍金でのオファーに加え、6月以降の戦力補強においても選手を融通するということで交渉したのだという。

　何より、本人の希望も強かった。トップ下を用いるシステムを取っているという理由のほか、マウリツィオ・サッリ監督が展開する攻撃的パスサッカーへの憧れを持っていた。

「ナポリやチェルシー時代のサッカーを見て、自分も研究していた。サッリ監督の下なら自分はもっと伸びるはずだと思った」

　1月3日に契約書にサインをした後、ユベントス専門のTVチャンネルのインタビューでこう伝えた。

ユーべは冬に獲得するつもりだったが。

　だが、なぜユベントスは加入を6月まで見送ったのだろうか。否、複数の地元紙報道によれば「ユーべは冬に獲得するつもりでいた」のだという。だが、クルセフスキの思いは違った。パルマのダニエレ・ファッジャーノSDは「彼は（レンタル終了期限である）6月30日までは残ると言ってくれていた」と明かした。

　そんな決断に喜びもひとしおだったのは、パルマのファンだろう。プロビンチャ（地方）のクラブからビッグクラブへ選手が引き抜かれるのはお馴染みの光景だけに、様々な不安が去来する。

　特にユベントスに対しては、リリアン・テュラムやジャンルイジ・ブッフォンらを引き剥がされた経緯があるだけに、一層複雑な感情を見せていたようだ。「99％の人々は冬にクルセフスキがどこかに行って、そのまま戻ってこなくなると思っていたに違いない」。ダベルサ監督は、地元記者にそう話していた。

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