武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
今年は誰でも優勝のチャンス?
平幕力士が活躍した激動の初場所。
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph byKyodo News
posted2020/01/28 18:00
近畿大学相撲部出身の徳勝龍。「花のロクイチ組」のひとりで、同期は稀勢の里、豪栄道、勢らがいた。
「豪栄道は大関としてのプライドもあるのだと思う」
最近の大関たちを見ていると、「大関の価値って何?」と僕はわからなくなってくるんだ。平幕より強くて、横綱を目指すのが“大関”という地位なはず。「相撲が好きだから、愛してるから、大関を落ちても続けたい」との思いもわかる。
今でいえば琴奨菊や栃ノ心、かつてはハワイの先輩の小錦や、部屋の弟弟子だった雅山(現二子山親方)がそうだったしね。
今回、豪栄道のようにスッパリ潔く引退するのは、もちろん長く大関を務めてやり切った思いがあるからこそで、大関としてのプライドもあるのだと思う。そこは豪栄道らしくもあるかな。
「遠藤は巧さにくわえて“圧”も出てきた」
昨年の栃ノ心もそうだったけれど、今場所は高安が大関復帰を目指した結果、6勝9敗か……。
見た感じ、まだ腰が治ってないね。
立ち合いでかち上げに行く時も体が反っていて高いし、あれじゃ腰に負担も掛かるよ。ここは1回、きちっと腰を治して出直した方がいいと思う。
モンゴル人は、もともと骨も太くて足腰が強いと聞いている。高安は日本とフィリピンとのハーフだけど、どうなんだろう。あまり体をデカくすると体の負担が大きいから気をつけないとね。僕たちハワイ人は、もともと体がデカいからなぁ。
10勝して大関取りが繋がった朝乃山。
自分の形になっても負けてしまう相撲が何番かあって、そこはもう、頭よりも体で覚えるしかないの。まだ、体が自分の形を覚えきってないんだ。
かつて「右を取ったら敵なし!」の魁皇(現浅香山親方)や高見盛(現振分親方)みたいに、自分の型を体が覚えるまでに磨いてほしいな。
2横綱から金星を挙げ、殊勲賞を受賞した遠藤。
巧さにくわえて“圧”も出てきたね。
前半は「優勝もあるかも?」との勢いだったけれど、後半にスタミナ切れ。まだスタミナが足りないな。15日間、最後までペースを保つのがいかに大変かってことでもあるんだ。