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レアル優勝も出場クラブは負担大。
スペインスーパー杯サウジ開催の謎。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2020/01/17 11:30
レアル優勝で幕を閉じたスペインスーパー杯。収益のために決戦の地はサウジアラビアとなった。
大会ごとに約49億円を得る算段。
大会の収益を上げるべく、協会は2012年に「スーパーカップ改革」をぶち上げた。
2013年大会から'19年大会までのうち5回を北京で開催するというものだが、常連であるR・マドリーとバルサの反対もあって計画は頓挫した。
それを、ルビアレスは形を変えて強行したわけだ。
2018年5月に協会トップの座に就いた彼は、早速、同年8月の'18年大会をモロッコへ持ち出した。
次に大会方式を「前季のリーガ上位2クラブと国王杯ファイナリストの2クラブによるミニトーナメント」に変更し、2019年大会から'21年大会まではサウジアラビアで、日程、気候的にも余裕がある1月に開催することを発表した。
その見返りとして、協会は大会ごとに約4000万ユーロ(約49億円)を得る算段だ。
その半分強は出場する4クラブに分け与えられるが(出場報酬や順位に応じた賞金)、残りの使い道は先述のとおり。
ルビアレスが言うとおり、スペインサッカー界全般のためと考えると悪くはない改変だ。ルビアレスにはスペインサッカー選手協会(選手を組合員とする労働組合)の会長として、給料遅配などに苦しむ選手のために戦ってきた過去がある。
移動に6時間かかり、疲労が増加。
それでも、当事者たちには歓迎されなかった。
当然シーズン真っただ中に本来不要な遠征を強いられる。スペインとサウジアラビアの時差は2時間しかないが、移動に6時間ほどかかるため、余計な疲労を蓄えることになる。
国外遠征はサポーターにとっても大きな障害となる。出場クラブのある役員は『エル・ムンド』紙でこう語っている。
「好ましいことなんてひとつもない。何かとお金がかかるクリスマスが終わったばかりだというのに、いったい幾ら必要になるんだ。これがCLなら話は別だが。おまけにサウジアラビアは決して行きやすい国じゃない」
試合のチケットは最も高い席で37ユーロ(約4500円)なのに、4クラブに分配された計1万2000枚のうち、売れたのは1000枚強らしい。
一方、国有企業RTVEを始めとする主要テレビ局はサウジアラビアで横行する人権侵害を問題視し、大会の放映権入札への参加をやめた。