球体とリズムBACK NUMBER
ファンダイクほど完璧ではないが、
南野拓実のリバプール初陣は上々だ。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2020/01/07 11:40
対戦相手エバートンは明らかに本気だった。今後もタフな相手が続く中で南野拓実はどれだけインパクトを残せるか。
この先の試合は厄介な相手揃い。
確かに最終局面での仕事はほとんどなかったが、前半には激しいプレスバックで名手ギルフィ・シグルズソンからボールを奪い、逆襲の際には中央でボールを受けて素早くターンし、推進力を生み出した。
プレーを数値化してアルゴリズムによる採点を掲載するウェブサイトでは低評価ながら、現地各紙の担当記者からは及第点の評価を得ている。
つまり総合的に、リバプール初の日本人選手のデビュー戦はまずまずだったと言える。キックオフ前は、伝統の赤いシャツの重みを感じてか、緊張の面持ちで視線を多方に動かしていたが、次の試合では肩の力も少しは抜けるはずだ。
この試合でもジェイムズ・ミルナーが怪我に見舞われ、負傷者がさらに増えたため、複数のポジションを担える南野のチャンスは増すはずだ。
この先のリーグ戦では、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッド、ウォルバーハンプトン・ワンダラーズと、厄介な相手との試合が控えている。チャンピオンズリーグのラウンド16では、アトレティコ・マドリーとの激戦が必至だ。
ファンダイクのような完璧なデビューとはならなかったが、トップ中のトップレベルで研鑽を積み始めた南野。その極めて刺激的な日々は、もうすぐ25歳になる日本代表をどこまでの存在に仕立て上げるだろうか。