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井岡一翔「いくしかないと覚悟を」
エリートの弱点を克服した初防衛。 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2020/01/06 12:15

井岡一翔「いくしかないと覚悟を」エリートの弱点を克服した初防衛。<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

「打たせずに打つ」タイプだった井岡一翔が、被弾覚悟で前に出た。その気迫は世界の舞台につながっている。

標的はエストラーダとゴンサレス。

 具体的な標的として、この階級の第一人者、WBC同級王者のフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、そして元4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)の名前を挙げたのは「世界的に名の知れている選手」だからである。

 現実問題としてエストラーダはけがで戦線離脱中、ゴンサレスはWBA王者、カリド・ヤファイ(イギリス)との対戦が浮上しており、井岡がすぐに大きなチャンスに恵まれるかどうかは不明だ。

井上尚弥が切り開く新たな世界。

 しかし、「海外」と「ビッグマッチ」が、国内トップボクサーが近年そろって口にするセリフであることは興味深い。

 こうした令和ボクサーの先陣を切って突き進むのはWBAスーパー・IBFバンタム級王者の井上尚弥(大橋)だ。

 バンタム級世界王者が多数参加したトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)で優勝し、内外で知名度を上げた井上は米大手プロモーションのトップランクと契約、今春には聖地ラスベガスでメインイベントを張る予定となっている。試合も他団体王者との王座統一戦が有力で、「海外」と「ビッグマッチ」を実現させる最初の選手となるだろう。

 WBAミドル級王者の村田諒太(帝拳)も狙うはサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)といった世界的スター選手だ。

 こちらは日本開催を目論んでいるものの、もし実現すれば世界的に層の厚いミドル級だけに、イベントの規模と両選手のファイトマネーは従来の常識を覆すに違いない。

 ほかにも12月にアメリカでIBF世界S・バンタム級王座を獲得した岩佐亮佑(セレス)も海外での正規王者昇格と、さらなる大きな試合を望んでいるし、'18年7月にアメリカで世界タイトルを獲得した前WBO世界S・フェザー級王者、伊藤雅雪(横浜光)もトップランクのサポートを受けて海外での活躍に意欲満々だ。

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