箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
青学・吉田祐也の区間新と陸上卒業。
「原監督を見返したい」から感謝へ。
posted2020/01/04 11:45
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Yuki Suenaga
そう簡単に選手のことを褒めない原晋監督が、最大級の表現で身長164cmの小さな4年生の快走を讃えた。
「みんな天晴れな走りをしてくれましたけど、4区は予想よりもプラスアルファが出ました。あそこまで祐也が走るとは思いませんでしたね(笑)」
2年振り5度目の総合優勝を果たした青学大が、駅伝の流れをぐっと引き寄せたのが往路4区である。4年生の吉田祐也が衝撃の箱根デビュー。区間新記録となる1時間00分30秒の走りで首位に返り咲き、後続との差を一気に広げて見せた。
昨年、東洋大のエース相澤晃が更新した区間記録をさらに24秒上回り、この区間2位の名取燎太(東海大)に1分7秒もの大差をつけたのだから恐れ入る。
大会前、原監督は「今年のチームは選手層は厚いが爆発力がない。優勝するには耐えて勝つしかないだろう」と話していたが、結果は良い方に裏切られ、「ダメダメ世代」と呼んできた4年生の1人、吉田が爆発的な走りでチームに貢献。まさに優勝の立役者と呼んで良いだろう。
2年の時も3年の時も「11番目」。
総合優勝を決めた当日、吉田本人に話を聞くと、弾むような声が返ってきた。
「本当に悔いのない走りができました。後悔のない走りをしようとチームで話していたので、それが実現できて良かったです」
箱根での起用を明言されたのは、11月の全日本大学駅伝で5区3位と結果を残した後だった。これまで吉田はエントリーメンバーには入るものの、箱根を走る機会は与えられてこなかった。チーム1の努力家と誰しもに認められながら、監督の走りの評価は2年生の時も3年生の時も「チーム11番目」。それをめぐって、監督と意見が衝突したこともあったと話す。
「たとえば昨年は風が強くなると予想されていて、監督はそれを理由に外すと。僕自身は風に弱いとは全然思っていなかったので、そんな理由で外れるのは納得がいきませんでした。そういった認識のズレはあったと思います」