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デビューは420kg台→有馬で468kg。
成長し続けた名牝リスグラシュー。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2019/12/25 07:00

デビューは420kg台→有馬で468kg。成長し続けた名牝リスグラシュー。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

今後は繁殖牝馬となるリスグラシュー。引退式は1月19日に京都で行われる予定。

2歳から素質の片鱗は見せていた。

 思えばデビューした2歳当初から素質の片鱗は見せていた馬だった。デビュー2戦目で勝ち上がった時は阪神競馬場の芝1800メートルで2着馬を4馬身突き放した。勝ち時計の1分46秒2は2歳のコースレコードだった。

 直後には東京競馬場芝1600メートルのアルテミスS(GIII)を優勝。続く阪神ジュベナイルF(GI)でもソウルスターリングの2着に追い上げ、GI制覇は時間の問題かと思わせた。

 しかし、3歳クラシック戦線は惜敗が続いた。桜花賞(GI)でレーヌミノルの2着に敗れるとオークス(GI)ではまたもソウルスターリングに敗れて5着。秋になってからも秋華賞(GI)がディアドラの2着でエリザベス女王杯(GI)はモズカッチャンから大きく離された8着に敗れてしまう。

 古馬となった昨年も春のヴィクトリアマイル(GI)ではシュールポレールのハナ差2着に惜敗。しかし、その秋からようやく本格化を見せる。3歳時は430kg台、あくる春もまだ440kg台で走っていた体を460kg台まで増やすと、前年8着に敗れたエリザベス女王杯(GI)でクロコスミアや前年の覇者モズカッチャンらに雪辱して優勝。自身初のGI制覇を飾った。

レーンを背に宝塚記念で圧勝。

 念願のGI制覇を達成した彼女を矢作調教師は香港へ連れて行ったのだが、ここは先述したように精神面での弱さが出てしまい2着。迎えた今春、2度目の香港遠征。クイーンエリザベスII世C(GI)ではウインブライトの3着に敗れたが、ここで帰国すると、更にひと皮むけ、新たなパートナーとなったレーン騎手を背に宝塚記念で自身2度目のGI制覇を果たす。

 それも、キセキやレイデオロ、スワーヴリチャードやアルアインといった牡馬のGIホースを全く寄せ付けず、2着のキセキに3馬身、3着のスワーヴリチャードには5馬身という差をつけて圧勝してみせた。

 この後がコックスプレートの優勝劇であり、伯楽が彼女の成長ぶりに目を見張ったというのは前述した通り。これでリスグラシュー自身の完成型が出来上がったかと思われた。

【次ページ】 しっかり調教後も「10kgくらい増えている」。

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