F1ピットストップBACK NUMBER
死せるラウダ、メルセデスを走らす。
今もチームに残る偉大なスピリット。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2019/12/22 20:00
2014年、在りし日のラウダとハミルトン。この年から偉大な連覇の記録がはじまった。
ラウダの薫陶は今も生きている。
その2戦後のアメリカGPで、今度はハミルトンがドライバーズ選手権を連覇。通算6度目のチャンピオンに輝いたハミルトンが口にしたのも、ラウダへの感謝だった。
「ニキがここにいてくれたらと思う。もし、あのとき('12年の夏)ニキから電話がかかってこなかったら、僕のタイトルは1度限りだったかもしれない」
コンストラクターズ選手権6連覇はフェラーリに肩を並べる記録だが、ドライバーズ選手権とのダブルタイトル6連覇は、F1史上初の快挙だ。
偉大な記録を作った'19年のメルセデスは、最終戦でもハミルトンが勝利を収め、有終の美を飾ってシーズンを締めくくった。だが、ラウダの薫陶を受けたウォルフに、緩みはない。
「天国の上からこの様子を見ていたら、ニキはこう言うだろうね。『6連覇おめでとう。でも来年のチャレンジはもう始まっているんだぞ』と、ね」
ラウダは、いまも彼らの心の中で生き続けている。