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38歳でハットトリック、時速32km!
ホアキン健在の理由は監督と母親? 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byGetty Images

posted2019/12/20 11:40

38歳でハットトリック、時速32km!ホアキン健在の理由は監督と母親?<Number Web> photograph by Getty Images

2002年日韓W杯での快足ウインガーぶりが懐かしいホアキン。乾貴士が所属した頃にはいい兄貴分役にもなった。

以前の直線的なスタイルから変化。

 10代半ばでベティスのカンテラの一員となり、2000-01シーズンの2部でトップチームデビューを果たしたホアキンは、2006年8月、25歳のときにバレンシアへ移籍した。 その後マラガとフィオレンティーナを経て、2015年8月、34歳でベティスに戻ってきた。

 サポーターには大歓迎された。しかし、戦力としてはそれほど期待されていなかった。メディアにも「引退前のひとときを古巣で過ごすための復帰」と見られていた。

 ところが2015-16シーズンからこちら、彼は毎年29試合以上に出場し、2017-18以降はプレー時間が右肩上がりにさえなっている。パフォーマンスそのものも素晴らしい。

 本人がスペインのサッカー誌で語ったところによると、キャリア晩年の活躍のきっかけとなったのは2017-18シーズンから指揮を執った監督のキケ・セティエンとの出会いだ。

「パスを繋ぐキケのスタイルによってボールに触れる回数が増え、走らなきゃいけない場面は大きく減り、気持ちよくサッカーができるようになった。以前の直線的なスタイルのままだったら、引退していたかもしれない」

 もちろん、好調の要因はそれだけではない。

 歳をとったからこそしっかりと練習して、「『そんなにずっとソファに座ってるとお尻が四角くなっちゃうわよ』と妻に言われる」ほど身体を休め、食事にも気をつけ、自分自身「数年前には想像もできなかった」厳格さで体調を管理しているからだろう。

「あいつは6歳になるまで母親の」

 加えて、そもそもの体質がある。

 2018年6月に引退するまでベティスのメディカルチームのトップを務めていたトマス・カレロは、ホアキンが長い選手生活のなかで一度も大怪我をしていないことを、『エル・パイス』紙で指摘している。

「見事に発達した身体です。試合後の回復力もすごい」

 ホアキンの身体の秘密は、何年か前に父アウレリオが明かして話題となった。

「母乳だよ。あいつは6歳になるまで母親のおっぱいから離れなかった」

 本人も35歳の誕生日を迎える前に出演したテレビ番組で認めている。

「おふくろの胸に、確か6歳まで吸い付いてた(笑)。発育にいいかって? そのとおり。自分では確信しているよ。あれで俺の身体は丈夫になった。間違いない」

【次ページ】 トップスピードは今も時速32km超。

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