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井上尚弥、村田諒太の2020年は?
世界最高のプロモーターが語る野望。 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byGetty Images

posted2019/12/18 08:00

井上尚弥、村田諒太の2020年は?世界最高のプロモーターが語る野望。<Number Web> photograph by Getty Images

88歳となった今でも健在のボブ・アラム。井上、村田両選手に大いに期待を寄せている。

村田がバトラーに勝てば……。

 アラムの視界には12月23日に横浜アリーナで行われる興行ももちろん入っている。村田対スティーブン・バトラー(カナダ)戦のプロモートのため、19日には日本に飛ぶのだ。

 トップランク社は村田の米国内でのプロモーターを務めてきたが、2020年こそが最大の勝負の年になりそうだ。あくまでバトラーに勝つという条件付きだが、村田は近い未来に日本史上最大規模のビッグファイトに臨む可能性、現実的な可能性がある。

 そう、元3団体統一王者のゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)、あるいは4階級制覇王者サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)とのドリームマッチである。

「次の防衛戦で村田が勝った場合、東京ドームで戦う話をゴロフキンの陣営にもちかけたいと考えています。また、カネロとの対戦も選択肢の1つ。前戦をライトヘビー級で行ったカネロが、再びミドル級まで下げてくる気があるのかを知らなければいけません。ただ、私たちはカネロが属するゴールデンボーイ・プロモーションズ、カネロ個人のチームとも良い関係を保っています。まずは村田陣営の希望を確認しなければいけませんが、カネロ戦を望んだ場合、その試合をまとめるのが目標になります」

もう夢物語ではない。

 日本でも人気の高いゴロフキンと村田の対戦は、もうしばらく前から盛んに話題に上っていた。また、最近では現役選手としては最大級の興行価値を誇るカネロもDAZNでオンエアされたインタビュー中に「日本で試合ができたら素晴らしい。モチベーションをかき立てられるよ」と日本での試合を望むコメントを残し、あらためてジャパンマネーとジャパンリングの存在感が注目され始めている。

「村田がDAZNの中継で戦う可能性について、すでにESPNには話をしてあります。DAZNはカネロとゴロフキンに大金を払っているのですから、(村田戦を)アメリカ国内では彼らが配信するということに異論はありません」

 アラムはそう語り、トップランク社が契約するESPNでの中継にはこだわらず、カネロとゴロフキンを抱えるDAZNに村田をレンタルすることにも異論はないと強調していた。

 つまり、マッチメイク時に障害になることが多いプロモーター、中継元の違いもここでは問題にならないということ。だとすれば、来春~来夏に世界最高峰のスーパースターが日本のリングに立つのはもう夢物語ではない。特に現在はIBF タイトルを保持するゴロフキンが来年2~3月に予定する指名戦をクリアすれば、日本での試合が再びクローズアップされるはずである。

 2大スターとの対戦が叶わなかった場合、村田は再戦オプションを持つWBA前王者のロブ・ブラント(アメリカ)とのラバーマッチに臨む公算が強いという。このような新鮮味がないカードよりも、34歳になる村田にはぜひとも全世界注目のリングに立ってほしいもの。繰り返すが、まずは23日のバトラー戦に勝つことが絶対条件。それが果たされた後、村田と帝拳ジム、そしてトップランク社とアラムの動向に、これまで以上の注目が注がれることになるのだろう。

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