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村田諒太は初防衛戦へ好調&明るい。
作戦は「相手が嫌になるまで殴る」。

posted2019/12/21 20:00

 
村田諒太は初防衛戦へ好調&明るい。作戦は「相手が嫌になるまで殴る」。<Number Web> photograph by AFLO

村田諒太の表情は明るい。しかし好調が勝利を約束する甘い世界でないことは、本人が誰よりもわかっている。

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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 WBA世界ミドル級チャンピオンの村田諒太(帝拳)が23日、横浜アリーナでゴングとなるトリプル世界タイトルマッチのメインで、挑戦者8位のスティーブン・バトラー(カナダ)を迎えて初防衛戦を行う。

 戦前の予想はチャンピオン有利の見方が大勢を占めるが、はたして村田は期待通りに勝利を収めることができるのだろうか――。

 村田の表情がすこぶる明るい。試合が決まって以降の毎週木曜日、村田はジムに報道陣を受け入れ、練習後には必ず取材に応じた。どの日に顔を出しても村田ははつらつとした様子で、前向きな発言を繰り返していたのが印象的だった。

 その最大の理由は「トレーニングがうまくいっている」ということに尽きるだろう。

 海外から計6人のパートナーを招へいして中身の濃いスパーリングができた。試合の1カ月以上前からコーヒーを絶ち、カフェインで練習前にテンションを上げて体力を使わないように配慮もした。

 これはスパーリングで100パーセントの力を出すためで、前回7月のロブ・ブラント(米)との再戦前から実行している。

「相手が嫌になるまで殴る」

 トレーニングの充実は、7月のブラント戦で攻撃スタイルが定まったことも大きい。

「ブロックしてプレッシャーをかけ、しっかり手を出して相手が嫌になるまで殴る」(村田)

 昨年10月、ブラントとの1戦目に敗れたときは上体が起き、攻撃は単発に終わり、動くブラントを捕まえることができなかった。この試合の反省が、言葉にすればシンプルなスタイルの確立につながった。

 芯が定まればトレーニングも定まり、どこかバランスが崩れたとしても修正がしやすい。うまく歯車がかみ合うようになったのだ。

【次ページ】 挑戦者はパンチは強いが脆さもある。

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